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2023年 10月 3日 ブログ総選挙【飯塚思温編】

こんにちは,理系受験生の皆さま。飯塚です。

今回は一緒に『単振動』を復習していきましょう。

なお当記事の図はオリジナルなので,ミスなどありましたらすみません。

 

1.結論

時間が無い人のために,結論だけ先にお伝えしてしまいます。

単振動は,運動方程式を以下の形に変形できれば終了です。


(後ほど説明しますが,xの上に2つドットが付いた記号は”加速度”です)

この式は,x=Cを振動中心とする角振動数ωの単振動を表します。単振動の運動方程式は全てこの形に変形できます。むしろ、運動方程式に限らず物理量xがこの形で表せるとき、物理量xは単振動をするといいます。

具体的には,次の3つの手順で考えるだけで良いです。

位置 x での運動方程式を立てる

左辺に加速度だけを残す

右辺を x の係数でくくる

以下の鉛直ばね振り子の例で確認していきましょう。ばねが自然長のときの位置を原点とし,ばね定数をk,質点の質量をmとします。

③で得られた式を記事のはじめに載せた式と比較します。すると,これは x=mg/k を振動中心とする角振動数ω=√k/mの単振動を表していることがわかります。もし周期を問われたならば,関係式 T=2π/ω を用いればすぐに求まります。これで単振動は終わりです

ばねに限らず,すべての単振動はこの手順で解けます。地球トンネルや浮力で運動する物体,断熱変化するピストンに平行板コンデンサの極板の運動など,単振動が出てくる問題は数多くのバリエーションがあります。

運動方程式さえ立てられれば解けるわけですから,落ち着いて作用する力を見つけて,正しい運動方程式を立てるところから始めましょう

 

さて,ここから本題に入ります。ちょっと踏み込んで『単振動』を見ていきましょう。

 

2.位置と速度・加速度の関係

前準備として,微積分の考え方を少しだけ学びましょう。

(以下では1次元の直線上の運動であると考えてください)

まず速度について復習します。

100m10秒で走ったときの速度は何m/sでしょうか。

そうです。10m/sですね。

そして皆さんはこれが「平均の速度」であり,「瞬間の速度」ではないことはご存知でしょう。スタートからゴールまで一定のペースで走っているというのはあまり現実的ではありません。そこで,瞬間の速度を求めるためには,限りなく小さく区切った時間での変位を考えればよいのでしたね。

Δt秒間の変位をΔxとすると,平均の速度は Δx/Δt で表されます。つまり,瞬間の速度を求めるためには分母を限りなく0に近づける,すなわち数学的にΔt→0とすればいいわけです。この操作を微分と言います。

物理では,時間tでの微分上にドットを付けて表すことがあります。「xドット」と読みます。

加速度についても同様です。

さらに1つドットを増やして表し,「xツードット」と読みます。

このように,速度と加速度は位置の微分で表されます。

 

3.単振動

さて,ここで最も簡単な単振動の運動方程式を見てみましょう。ばね定数kのばねに繋がれた質点の運動方程式です。

よく見ると,時刻tの関数であるxと,その2階微分が両方含まれていますね。このように,ある関数の微分(導関数) が含まれている方程式を微分方程式と言います。単振動に限らず,運動方程式は加速度を含んでいるので,すべて微分方程式であると言えます。

この運動方程式を解く,すなわちxをtの関数として表してみましょう。見やすくするために少し変形します。

この式はつまり,xは2階微分するともとの関数にマイナスが付いて戻ってくる関数であるということを表しています。そんな関数を皆さんはご存知でしょう。そうです,三角関数ですね。つまり,x=sinωt, x=cosωt は上の方程式を満たす解となっています。

少し踏み込んだ話をすると,上の2つの解は基本解と呼ばれ,今回のような形の微分方程式のすべての解は基本解の線形結合(それぞれを定数倍した和の形)で表せることが知られています。つまり単振動の運動方程式の一般解は以下の形で表されます。

さらに三角関数の合成を用いると,

よく見る形になりました。高校物理では少々誤魔化されていましたが,たしかにグラフが正弦波の形になることを確認できましたね。このとき,aを振幅δを初期位相といいます。

ωは角振動数と呼ばれ,単振動を等速円運動の射影と見たときの,円運動の角速度に対応していると習いました。ゆえに周期Tは円を1周する時間なのでωT=2πを満たし,T=2π/ωとなります。周期の逆数 f=1/T 振動数と呼ばれ,単位は[/s]の代わりに[Hz]を使います。関係式 ω=2πf は覚えておきましょう。

このように、運動方程式が単振動型で表された時点で、位置や速度は時刻tの正弦(余弦)関数になることが決まってしまっているわけです。だから、運動方程式を記事冒頭の式で表した時点で、初期条件さえ与えればどんな単振動をするのかは全て分かってしまうのです。

一般解に登場したA,Bといった任意定数は,初期条件,つまり最初の位置や初速によって定まります。試しに t=0x=x₀, v=v₀ としてA,Bを求めてみましょう。2つ未知数があるため微分して無理やりもう一本の式を作り,代入して計算すると次のように求まります。

一番下の式は覚えておくと,初期条件と角振動数ωさえ分かれば単振動の式が求まるので試験での時短に繋がります。ちなみに,これは一般解に初期条件を代入して得られた解なので,特殊解と呼ばれたりします。

 

さて,ここまで読んでくれた人はいないと思いますが,単振動はとにかく一番上に書いた手順で進めればどんな問題でも太刀打ちできないということは無くなるはずです。振幅やエネルギー、速度の最大値などは触れられませんでしたが、適宜ご自分で勉強いただければ幸いです。今回の記事は完全に私の自己満足で書きましたが,物理に興味がある受験生の方もすこしは楽しんでもらえる内容になったかな,と思います。

最初で最後の学習支援ブログ!楽しかったです!怒られないといいけど…。

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